【雪よ林檎の香のごとく】シリーズ 一穂ミチ


雪よ林檎の香のごとく (ディアプラス文庫)

雪よ林檎の香のごとく 林檎甘いか酸っぱいか~青~
雪よ林檎の香のごとく 林檎甘いか酸っぱいか~赤~

【あらすじ】
中学受験も高校受験も失敗し、父の母校に進学する約束を果たせなかった志緒。今は、来年編入試験を受けるため、じりじりする気持ちを抱えながら勉強漬けの毎日を過ごしている。五月雨の降るある日、志緒は早朝の図書室で、いつも飄々としている担任・桂の涙を見てしまった。あまりにも透明な涙は、志緒の心にさざなみを立て―。静かに降り積もるスノーホワイト・ロマンス。期待の新鋭・一穂ミチのデビュー文庫。



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雪よ林檎の香のごとく

雪よ林檎の香のごとく



ごくまれにやってる小説レビューです。
このカテゴリでは心に響いた作品を
気まぐれにご紹介しております。

一穂ミチさんのデビュー作と
その同人誌・SS・小冊子等をまとめた
続編2冊を読みました。

一穂さんの透明感ある文章が
主人公たちの青さにぴったり合っていて
甘酸っぱさがたまりません。


以下、ネタバレありの各タイトルの感想と
総合しての感想です。





雪よ林檎の香のごとく (ディアプラス文庫)
新書館 (2015-06-18)
売り上げランキング: 15,654
おすすめ度:★★★★

白秋の短歌からとったタイトルが素敵です。

悩みを抱えた高校生の主人公志緒が
明るく朗らかな桂先生との交流で
頑なな心をほぐしていく話...かと思ったら、
先生の方が実は闇が深かったんですね。

志緒の若いまっすぐさが傷を持つ先生を
鮮やかに救って行きます。
先生が「幸せにして」と言うシーン、好きだったな~。

前半の表題作は両思いになるまで、
後半は付き合ってから
体の関係に至るまでという構成で、
付き合ってからのお話が長いのも好きでした。
二人がポンポン言い合いするのも好きです。


先生×生徒はあまり好きじゃないんですが、
卒業寸前まで体の関係は持たなかったし、
なるべくしてなったんだなぁと思えました。

後半の当て馬?もいい感じに歪んでいて、
今後のことが気になりますね。

ちょっと好きになった流れが唐突に感じたのと
子持ちの攻めは好き嫌いがあるだろうとも思いましたが
続きが気になってどんどん読み進めてしまいました。

エロは最後に一回だけ。
官能的ではなかったけど、
攻めのてらいのない態度が好ましく感じました。




雪よ林檎の香のごとく 林檎甘いか酸っぱいか~青~
一穂 ミチ
新書館
売り上げランキング: 50,214
おすすめ度:★★★★★

志緒の成人式前のエピソードを集めたもの。
どのエピソードも繊細だけど鮮烈で、
満足感がありました。
本編よりも文章の美しさが際立って素晴らしかった。

一番好きだったお話は『感情教育』
志緒が痴漢に遭う話ですが、いや~スカッとした。
志緒の潔癖な直情さも良かったけど、
桂が志緒のために怒ったシーンがほんと好き。
でも一番カッコ良かったのはお父さんw

『はるのうた』の卒業式もホロリときたし、
書き下ろしの「死」について二人が意識するエピも好きでした。

あ、エロはちょっとだけあるけど、
卒業寸前まで耐えた二人なので、
後半までほぼありません。
一番エロく感じたのはやっぱり『感情教育』かなー。
「やらないやらしさ」って言うのいいですね。





雪よ林檎の香のごとく 林檎甘いか酸っぱいか~赤~
一穂 ミチ
新書館
売り上げランキング: 183,323
おすすめ度:★★★★★

赤は志緒成人式後~就職するまでのお話。
15歳だった志緒が最後は24歳と思うと感慨深いです。

志緒の成長のみならず、
妹の美夏や幼馴染のりかなどの成長も
一緒に垣間見れます。
特に美夏ちゃんの存在が良かったな~。
時間の流れや志緒の成長がよく分かります。

私は主に桂視点で志緒の真っすぐさと
成長の様子を眩しく思いながら読みました。
「子どもと付き合うっていうのは、
 成長につれて自分のちいささを
 思い知らされること」
という一文に
すごくうなずいてしまった・・・。

そして志緒は志緒で、懸命に大人になろう、
桂に追いつこうとしているんですね。

二人は年齢差はあっても、
とても対等だなと思います。

どちらも自分より相手が優れていて
相手に相応しくなりたいと思っている。
そんな感じがします。

穏やかなお話ばかりかと思えば、
書き下ろしはちょっとショッキングで、
でも最後はちゃんとハッピーエンドでした。

読めば読むほど二人に愛着がわきました。

あ、赤の方がエロは多いです。
志緒宅の玄関エロはハラハラしましたw






私の普段の好みでは大人の恋愛物が好きで、
主人公が若すぎるお話は共感しづらいのですが、
このお話は志緒の若さ・青さ・真っすぐさが愛おしかった。

桂視点から志緒の滑らかな成長を
観察するのも良かったし、
志緒視点から大人な桂のわずかな綻びを
愛おしく思うところもグッときました。

一穂さん独特の文章の透明感と
文学の香りがする比喩も好きですね~。
タイトルの「林檎」の甘酸っぱさもぴったり。

本編もいいけど、続編の方がもっと好きです。
本編は張りつめた緊張感が少し辛かったですが
続編は穏やかな気持ちで読めました。


デビュー作でこのクオリティー?とか、
同人誌再録が2冊も?とか
色々驚きますが、一番すごいのは
一穂さんが兼業作家さんだってこと・・・

この筆の速さでクオリティーを保ちつつ
しかも本業があるなんて!!驚異的!!





ここまで読んで下さってありがとうございました。
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Tag:★5

COMMENT 4

でっかいちゃんがすき  2016, 04. 10 [Sun] 23:20

No title

ハムコさんこんばんは。
気になるBLが出てきたら、このブログを参考に購入決めてます。

林檎シリーズ、すごく良かった!
BL小説家は多いですが、一穂ミチさんは文章の構成力、美しさ、知識など群を抜いていると思います。
白秋や早春賦、吉行淳之介、六処の愛etc…よくこんなこと知ってるなーとなんども感心しましたし、またそれをストーリーに生かすうまさったら。
これで兼業…この知識量、いつ仕入れているんでしょう(-。-;

それに体の関係が出来た当初は電気をつけたままやっちゃっただけで泣いたのに、20歳の誕生日には公共のエレベーターの中で怒りながら自分からキスする、と徐々に心もカラダも成長していくその過程がホント自然です。
りかもようこ先生も添え物ではなくとても魅力的な女性で、特に桂に好きな人が出来た、と聞いてようこ先生が泣くシーン、大好きです。

感情教育、私も好きです!
やってないのに、なに?あのエロさ!
マイネームイズレッド(ヴァーミリオン)の
美術館でガラスにうつった志緒を指でなぞるシーンも
卒業までやらない、と決めてた桂の精一杯の触れ方で禁欲のエロさがもう!(≧∇≦)

ちなみに一穂さんのブログに、林檎赤、のショート続編載ってます(2015,8,25)
私、泣きました。
未読でしたらぜひ!

Edit | Reply | 

ハムコ  2016, 04. 11 [Mon] 07:32

>でっかいちゃんがすき様

でっかいちゃんがすきさん、おはようございます!

> 気になるBLが出てきたら、このブログを参考に購入決めてます。

わ~、嬉しいです!けどちゃんと参考になってるかなぁ(・・;)

> これで兼業…この知識量、いつ仕入れているんでしょう(-。-;

ほんとそうですよね!!あの知識量は本当にすごい!!
文学作品からのエピソードは感心しながら読んでます。
タイトルもね~、美しいんですよね~。

> それに体の関係が出来た当初は電気をつけたままやっちゃっただけで泣いたのに、20歳の誕生日には公共のエレベーターの中で怒りながら自分からキスする、と徐々に心もカラダも成長していくその過程がホント自然です。

なるほど…志緒の成長ぶりはそこにも表れてたんですねw
もう一回チェックしておきます!

> りかもようこ先生も添え物ではなくとても魅力的な女性で

正直、最初はあんまり好きじゃなかったようこさん。
続編で私もちょっと考えなおしました。
りかも幸せになってよかったですね~。

> マイネームイズレッド(ヴァーミリオン)の
> 美術館でガラスにうつった志緒を指でなぞるシーンも
> 卒業までやらない、と決めてた桂の精一杯の触れ方で禁欲のエロさがもう!(≧∇≦)

ああ~あそこもエロかった…やらないエロさ、素敵ですね~。
このお話、ちゃんとがまんしてるからえらいです。
若干フライングでしたけどwまああれは許しますww

> ちなみに一穂さんのブログに、林檎赤、のショート続編載ってます(2015,8,25)

教えていただいて見に行ってきました!
ありがとうございます!
志緒のお父さん・お母さんの気遣いように笑ったw
でも志緒って反対されることはあまり心配してなさそう。
あの両親なら、受け入れてくれそうな気がしますね。
先生の挨拶するところ超見たい!

コメントありがとうございました♪

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tea  2016, 05. 23 [Mon] 23:36

読みました!

ハムコさん

細々と小説読んでいます・・ハムコさん記事薄目で見ながらww<(_ _)>
こちら、本編だけ読みました。
デビュー作ということですが、本当に林檎かじった瑞々しさと甘酸っぱさが染み入る読後感でした。
正直な感想、拙いし粗いと感じたのですが、それなのに繊細で抒情的。不思議な魅力に何度か速度を変えて視点を変えて読み直しました。
何より、一生懸命好きなものを書いた、ということがとても伝わってきて、主人公の一途な思いと相まって透明感が増しているような気がします。
最初は志緒視点でキリキリしながら読み、次に桂視点で読んだ時には、
「舞姫」・・毎年毎回、授業でやる度に自責の念に苛まれながら音読するのか。と。他にも色々・・・。
それから、赤ちゃん用品。志緒のものが大切に取ってあった・・というくだり。ずっと2人目が欲しかった夫婦なのですよね、きっと。
細かいやさしい眼差しが全編から感じられました。
青林檎・赤林檎はまだ読もうかどうか迷い中です。
小説は漫画ほど番外編や同人誌への執着がないです。
自分で妄想できる幅が広いのかもしれません。私には。
続き・・どうしようかな・・・。

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ハムコ  2016, 05. 24 [Tue] 06:04

>tea様

teaさん、こちらにもありがとうございます!

私、小説はほんと初心者なので参考になるかどうかw

> デビュー作ということですが、本当に林檎かじった瑞々しさと甘酸っぱさが染み入る読後感でした。
> 正直な感想、拙いし粗いと感じたのですが、それなのに繊細で抒情的。不思議な魅力に何度か速度を変えて視点を変えて読み直しました。

そうですよね、拙い感じはやっぱりあったけど、
その瑞々しさが内容とマッチしてたと思います。
みんな繊細で傷つきやすい優しい人たちだったな~。

> 青林檎・赤林檎はまだ読もうかどうか迷い中です。

あれはちょっと高いですもんね~。
個人的には本編より楽しめました。
番外編と言うより続編に近くて、
志緒の成長と二人の関係の成熟を見守る感じです。

コメントありがとうございました♪

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